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webの恥は書き捨て

売れる漫画家

私は高河ゆんの漫画がとても好きです。


読んでいたのは特に初期の頃です。
ローラカイザーや源氏、アーシアン、子供たちは夜の住人、まぁわりと読んだ方だと自覚しています。
現在は古本屋さんでしか見かけないですが、それでも私はどちらかといえば彼女の作品に愛情を持っている人間です。


彼女が同人誌界の女王だったころ、私は西の最果てに住み、とてもとても小さな委託販売店で、割高な同人誌をドキドキしながら少しずつ少しずつ購入しておりました。
ジャンル違いってこともあって同人誌界での彼女は全く存じ上げないのですが、いつだろう、アーシアンと源氏で彼女を知りました。



そんな彼女もアニメ化してみたりガンダムのキャラデザやってみたり、何だかとっても楽しそうな感じのお仕事ぶりだなぁと思って眺め続けておりましたが、久しぶりにアーシアンの完結編読み直して、彼女のプロらしからぬあの仕事ぶりを再度考えてみました。



同人からプロになった方々はプロ意識に欠け仕事ぶりが酷い、という傾向は確かにあるかもしれません。
プロになろうなんて考えていなかったような方々が多いでしょうし、なおかつ「売れる」より「書きたい」「補完したい」「ニーズは俺」で描くのが当たり前の同人誌、それで売れていたんだから余計に、読者視点にはなかなか立てないだろうなと思います。
でも、それでも、それでもです。彼女の漫画は売れる。面白い。泣ける。
彼女はご自分の描きたい物を描いて売れる稀有な漫画描きなのです。

高河ゆんは高河ゆんであって、漫画家という職業とは少し違うものだと私は考えます。
彼女の作品は半分ほどが未完成です。源氏なんか、ほんとに続き読みたいですが、同人に慣れている自分としては、あれがこのままずっと完結しなくても、まぁ仕方ないかと思います。
ネット上には、いまだにじっと源氏や天使庁や…の続きを待っている方がたくさんいて、もちろんそこには高河ゆんに対しての不満が渦巻いています。当然です、彼女たちにとって高河ゆんは普通の漫画家。彼女に続けられないのだったら編集部が何とかすべきだろうと思うのが普通の漫画読者。世の多くの漫画読みたちは同人誌など知りませんし、同人誌描きがどんな心境で同人誌を描くのか知りません。




世の中には天才とか呼ばれる人がいます。
常識では考えられないようなことをやっているのになぜか結果が出る人。
漫画を描く人にはそういう人がわりといます。
高河ゆんだけじゃない。
CLAMPとか、トガシとか、ハギーとか。ほかにもいっぱい。
逆に結末まで描かせてもらえない、結果の出ない人もいるのかもしれない。
編集部からの圧力は、間違いなく「結果を出す人」に甘い。
それは仕方ない。当たり前。だから高河ゆんもCLAMPも完結出来ない。
理由は「好きなように描いているから」。ニーズは俺。です。それで売れるから仕方ない。



高河ゆんは凄いです。
あの当時の少女マンガと高河ゆんのマンガを比較すればそれは一目瞭然だと思います。
彼女の色彩感覚はちょっとどうだと思ったこともありますが。
漫画が文芸のようです。美しいです。
表現方法としての漫画の可能性をぐいっと広げたと思います。
それは、やっぱり同人誌界の女王になるべくしてなった方と思います。
商業誌でも当然認められてしかるべき方だと。


さらに創作において「ニーズは俺」で売れるということがどれだけ稀有な現象か。
凄いことなんです、これは。
好きな物を好きなように貫いて売れることは凄いことなんです。
だから特別扱いされて当然なんです。彼女たちは。


だから、いいんだと思います。
世に出たものを読みましょう。途中できれるのが嫌なら完結した後読みましょう。
彼女の漫画はそれでいいんだと思うのです。
彼女が遅筆だとかということじゃなくて。そういう方はそれでいいんです。
中途半端で終わったら、あとはこっちで補完しましょう。
彼女自身もそれを望んでいるような気がしてなりません。

私の好きな同人上がりの作家群が、ネット上で何だか批判されていることが多いので、書いてみました。
by inutawanwan | 2009-07-22 20:41 |
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イヌタの日常、悲喜交交。

by inutawanwan
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